以前もブログに書いたことがある、スープから飲まないと退場になる暖簾の無いラーメン屋「元気一杯」
ネット上で退場ルールについて話題になった店で「元気一杯」で検索すると本当か嘘かもわからない情報がわんさかと出てくる。
今回はその元気一杯について信じられない経験をしたので文章におこそうと思う。
一度は某SNSに書いたのだが「嘘でしょ?」「またお得意の捏造ですか?」と真偽を疑われたりもしましたが、この話は誓って嘘ではないと断言します。
これは紛れも無い事実です。
先日、展示の受付係で県立美術館にきていたので、美術館から車で5分ほどの距離と遠くない元気一杯へ、いっしょに展示受付していた画家の川崎君と食べに行くことにした。
俺は何度か食べたことがあるのだけど川崎君は初めて。
「緊張しますね。」と言っていたが、何も変なことしなければ普通に食べれるよとアドバイスした。
店に入ると隣のテーブル席で若者のあんちゃん4人がラーメンを食べていた。
見た感じ高校生ぐらいの顔にも見えるんだけど平日にラーメン食っているので大学生なんだろうか。
4月に大学に入って自由な時間ができたんで、ネットで話題の店にでも行ってみるかってとこだろう。
コソコソと「元気一杯ってさ・・・」「・・・らしいよ。マジでー?」みたいな話を店員に聞こえないようにしている。
さすがにまだ未成年の若者なので常連のフリした顔もできないのだろう、なんとも言えない緊張感のある空気。
これぞ元気一杯独特の空気感だろうか。
俺等のところにラーメン2杯を食べ始めたあたりで食べ終わった若いあんちゃん達は帰って行った。
彼等と入れ替わりぐらいだろうか、女性のお客さんが入り口から顔を覗かせた・・・。
「すいません・・・・7名入れますか・・・?」
「大丈夫です。今から空きます。」
と店員の奥さん。
そこに入ってきたのは呉服屋か華道の師範ような服装で、大物の威圧感漂う大御所風のおっさん。
和服の上に水戸黄門のようなチョッキを着ていかにもな風貌。
そしてそのツレの白いスーツに色眼鏡の腰ぎんちゃく風で寺島進に似ている男。
チンピラというよりは小金持ちな雰囲気。
・・・とカメラを持った金髪の外人女性。
日本に興味津々といった様子。
それとカウンターに座った普通の女性2人。
7名の残り2人は遅れて来ると言っていた。
注目はテーブルに座った最初の3人だ。
「おぅ・・・頑張っとるかぁ?」
と中尾彬のような低い声で店員のおばちゃんに尋ねる大御所。
「オー。本当にカンバン無いデスネ。オモシローイ。」
と外人さん。
どうやら会話の内容から外人さんは外国の記者。
「先生はよく来る店なんですか?」
と大御所に聞く寺島進。
「おぅ・・・俺はたまに来るんだよ。」
どうやら大御所は常連。
ネットでは追い出し役で有名な奥さんと親しげに喋っているし常連だろう。
親しげというかむしろちょっと上からなのが大御所の凄いとこなのだが。
常連であれば一見さんを連れてきてもいいらしいのだがあまりにも元気一杯の店の雰囲気にそぐわないメンバー。
いいのか大御所。
大丈夫か大御所。
「面白い店だろ?のれんが無いんだよ。」
と紹介する大御所だが、頑固な店だから失礼の無いようにしてくれといった注意は一切しない。
重要なのはあくまで「俺が常連の店」といった大物のニュアンス。
しかしそれでも大御所が浮いた人にならないのは寺島進がやたらと立てるからだろう。
大御所を先生と呼び、しっかり聞き手にまわる状況がつっこみにくい鉄壁さを構築していた。
「アレ?メニューがラーメン以外はナイデスカ?変わってマス。」
・・・と注文の段になってとんでもないこと言い出す外人記者。
中華屋にでも来たつもりだったのだろうか。
あきらかに「ラーメンは結構ですけど」という裏の意味が見え隠れするような気がするのは俺の考えすぎか?
そして
「ワタシ野菜イッパイ入ってるのがイイデス。」
とあっさり頑固なラーメン屋にはタブーになるであろう壁をブチ破る外人記者。
「体に悪い大衆食」という日本人には暗黙の了解であるところに「ヘルシーさ」という真逆の要素を要求してしまう。
「そば屋にでも行け!!」という店主、奥さん、川崎君、他の客の心の声が聞こえる。
ラーメン自体をまったく知らんのに高菜食ったら激怒されるような店に来て、しかもそれがまかり通る空気を作るこの3人のトリプルプレイが最強すぎる。
野菜の要求に
「野菜はネギしか無いですー!」
と返す店員の奥さん。
「ちょっとおめーら空気読めや!」というニュアンスが含まれているのだろうが3人はお構いなし。
「彼女は日本を取材に来た記者なんだよぉ。」
奥さんに紹介する大御所。
「多少勘弁してやってくれな」というより普通に紹介している感じの口調。
完全に店内は大御所と外人記者のターン。
「写真撮らなきゃデスネ。」と言ってる女性記者に大御所が「ちゃんと聞かなきゃダメだよ。」としっかり止める。
ラーメンが出てきたら「スイマセン。撮影イイデスカ?」と聞く外人記者。
当然ながら
「すいませーん。撮影は禁止なんですよー。」
と奥さん。
素で取材のつもりの外人記者と元気一杯のプライドを通そうとする奥さん。
外国語なまりの日本語とアニメ声が飛び交う店内。
「スープからどうぞー。」といつものセリフで奥さんがラーメンを出す中、いきなり箸で麺をすくおうとする外人記者。
これはさすがにヤバイ!と思った瞬間、前に座っている人に「スープを味わってからじゃないと失礼になるよ。」と言われ間一髪。
ちゃんとスープをレンゲですくう外人記者
「オー!クリーミーですね。スープは何を使ってるンデスカ?」
ついにとんこつラーメンの存在を知らない発言を堂々と言ってしまう。
輪の外で聞いている俺が「とんこつじゃボケーー!!」とつっこみたくなる。
ちゃんと説明しとけや大御所!!
このあたりで通常のこの店の雰囲気とはまた違う緊張感にいたたまれなくなって店を出ました。
最後までレポートする精神力は無かったです。
気になって全然ラーメンの味しませんでしたよ。
一方川崎君は「めちゃウマイっすね!」と高評価でした。
うん・・・・・・よかったよかった。
今回の一件で「高菜、食べてしまったんですか!!!!????」の伝説が崩れたような気がした。
俺は追い出しを目撃したことがないが、追い出しは本当にあるみたいなんでここは紛れも無くうわさの「元気一杯」で間違いない。
随分おとなしくなったとは聞くが、たぶん今も高菜や麺から食ったら追い出されるだろうとは思う。
携帯電話や子供連れもたぶんダメだろう。
だけど微妙な条件を満たせばどんな失礼なことをしても追い出されないフィールドを作り出すことも可能なようだ。
だからと言ってこれを見て馬鹿な挑戦をしようなんて思わないで欲しい。
これはあくまでも稀有な例でしかないのです。
大御所・寺島進・外人記者というトライアングルが生み出した奇跡でしかない。
それに元気一杯のラーメンはたまに食べたくなるので店の経営を圧迫するような悪戯はしないでいただきたい。
おねがい。
ついでに大御所一派が何者か素性を知っている人がいたら情報をいただきたい。
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